「ストレスのせいで抜け毛が多すぎてハゲるんじゃ……」と危機感を持っていませんか? ストレスと抜け毛に悩む前に、まずは抜け毛がなぜ起きるのかを知っておくとよいでしょう。「ストレス=ハゲる」という都市伝説を徹底的に解明します!
ストレス社会に生きる以上、抜け毛は避けられないものなのか
「ストレスをため込むとハゲる」という都市伝説
満員電車、終わらない残業、常に連絡を受信し続けるスマートフォン。
現代社会に生きる多くの人は、常にストレスとの闘いを強いられています。
心労が絶えない毎日を過ごしている人はもちろん、そうでない人も、「ストレスをため込むとハゲる」という言説を一度は耳にしたことがあるでしょう。
ストレスを感じる度に、自分も抜け毛が酷くなるのではと、戦々恐々としている人もいるかもしれません。
まずは、本当にストレスが原因なのかどうか、抜け毛の正しいメカニズムについて解説します。
抜け毛の正しいメカニズムを知ろう!
1日50本程度の抜け毛は誰にでも起こる!
1日に抜ける髪の毛の数をざっと数えたことがありますか?
本数を正確に把握するのは難しいですが、1日あたりの抜け毛が100本を超えるようでなければ、ストレスが原因ではありません。
なぜなら、1日50〜100本の抜け毛は毛周期によって誰にでも起こるものだからです。
毛周期は、発毛と脱毛を一定の周期で繰り返し、この毛周期が正常に保たれることで髪の毛は健康に成長します。
この毛周期には、成長期・退行期・休止期という3つのセクションがあり、1周期あたり約4〜5年程度かけて髪の毛は発毛と脱毛を繰り返します。
【ストレスと抜け毛】100本以上の抜け毛は「男性ホルモン」が原因かも?
明らかに100本を超える抜け毛がある場合、AGA(男性型脱毛症)と呼ばれるハゲを引き起こしているおそれがあります。
そのAGAの原因は、ストレスではなく悪玉化した男性ホルモンです。
ストレスが抜け毛に間接的に影響していることはあっても、抜け毛の直接の原因であるとは証明されていません。
【ストレスと抜け毛】「ジヒドロテストステロン」が毛周期を乱しハゲにつながる
男性ホルモンが抜け毛をもたらすメカニズムには、ジヒドロテストステロンという物質が大きく関わっています。
男性ホルモンの代表である「テストステロン」が、ヒゲや胸毛、前頭部、頭頂部の毛乳頭細胞に存在する「5αリダクターゼ」という酵素と結合することで、さらに活性の強い「ジヒドロテストステロン」に変換されます。
毛根の部分のジヒドロテストステロンは、髪の毛の成長するサイクルである毛周期を短くしてしまいます。
その結果、髪の毛が抜けやすくなり、ハゲにつながるのです。
抜け毛やハゲの直接の原因を解消するには、このジヒドロテストステロンの分泌に対処するほかありません。
【ストレスと抜け毛】抜け毛の毛根から「異常な脱毛」を見分けよう!
頭皮にトラブルにあるかどうかは、抜け毛の毛根をチェックすることでわかる可能性があります。
何らかのトラブルによって生じた抜け毛には、毛根に特徴があるのです。
毛根が以下のような形の場合、頭皮環境に何らかのトラブルがあるかもしれません。
そしてそれはストレスが原因となっているおそれも……。
今後、抜け毛になる可能性が高いので、まずは早めにクリニックに相談するのがよいでしょう。
【ストレスと抜け毛】毛根をチェックして異常脱毛を見分けよう!
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特に変な形ではないが、毛根が白い
→異常なし。毛周期によって抜けた自然脱毛による正常なもの。
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毛根が膨らんでいない、小さい
→栄養不足で毛母細胞の働きが低下している→AGAの前兆かも!
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毛根が凹凸があり、いびつな形になっている
→健康状態や生活習慣を見直す必要あり。円形脱毛症の前兆である可能性も。→ストレスが原因になりやすい!
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脂っぽい塊がついている
→頭皮に皮脂が溜まっている可能性が高い。脂漏性脱毛症の原因にもなりかねないので要注意!
【ストレスと抜け毛】実際のところ、ストレスは抜け毛に直結するの?
過度なストレスは、身体にさまざまな変化をもたらします。
ストレスの影響の出方は十人十色ですが、ストレスによる変化は、身体の一番弱っている場所に現れやすいという特徴も。
抜け毛自体は誰にでも起こるものですが、抜け毛が多すぎる場合は、ストレスによる変化が髪の毛や頭皮に現れているのかも。
しかし、科学的にはストレスが抜け毛に「直結」するとは言えません。
では、ストレスがもたらす影響の何が、抜け毛を引き起こす原因になり得るのでしょうか。
抜け毛につながるかも? ストレスからくる症状4パターン
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ホルモンバランスが崩れる
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血行不良
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睡眠障害
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亜鉛不足
抜け毛につながりかねないストレスの影響①:ホルモンバランスが崩れる
ストレスによってホルモンバランスが崩れると、抜け毛につながるおそれがあります。
過度なストレスを感じると、テストステロンという男性ホルモンが多く分泌されます。
男性ホルモンが過剰に分泌されると、毛周期を4〜5年程度からわずか100日程度にまで短縮化するジヒドロテストステロン(DHT)という物質が増加します。
さらに、頭皮の皮脂が増えることが頭皮環境の悪化にもつながります。
結果的に、ホルモンバランスの崩れが抜け毛が増える状態を作ってしまうのです。
抜け毛につながりかねないストレスの影響②:血行不良
ストレスがきっかけに自律神経の働きが乱れると、血行不良につながります。
血行不良が抜け毛の原因になる可能性は否定できません。
ストレスが自律神経の働きを乱すと、筋肉が凝り固まって血液の流れが悪くなります。
血液は栄養を運ぶ役目をしているので、血行が悪くなれば必然的に栄養分は上手くいきわたりません。
その結果、頭皮や髪の毛にも十分な栄養がいきわたらず、栄養不足になった頭皮は硬くなり、健康な髪の毛の成長を阻害する可能性があります。
結果として、自律神経の乱れがハゲにつながってしまうのです。
抜け毛につながりかねないストレスの影響③:睡眠障害
ストレスによる睡眠障害が、抜け毛の症状を誘発してしまう可能性もあります。
ストレスによって副交感神経が弱まると、夜眠れなくなってしまうでしょう。
不眠の症状は、髪の毛の成長を妨げると言われています。
健康な髪の毛を成長させるには、夜しっかり寝ることがとても大切です。
なぜなら、髪の毛は夜のうちにダメージを回復したり、成長したりするからです。
ストレスがもたらす睡眠障害によって、髪の毛の成長や修復が阻害されると、ハゲや抜け毛につながりかねません。
抜け毛につながりかねないストレスの影響④:亜鉛不足
ストレスがもたらす影響の1つである亜鉛不足が、抜け毛につながる可能性があります。
亜鉛は、髪の毛の原料となるケラチンというたんぱく質を合成するため、抜け毛を予防するには大切な栄養素の一つです。
亜鉛が不足するとケラチンの合成ができなくなるため、髪の毛が成長しなくなったり、抜け毛が増えたりします。
ストレスを感じると、新陳代謝や身体の働きを低下させる活性酵素が多く発生するようになります。
この活性酵素をなくすために体内の亜鉛が消費されるため、ストレスによって亜鉛が不足するのです。
亜鉛不足によって、髪の毛の成長に必要な亜鉛が十分に供給されなくなると、抜け毛やハゲを引き起こす可能性があります。
「円形脱毛症」は、ストレスが直接の原因なの?
円形脱毛症は、ストレスが原因でおこると言われる代表的な抜け毛の症状です。
しかし、ほかの抜け毛の症状と同じように、円形脱毛症も、ストレスが直接の原因であるとは言えません。
ストレスが引き金となって円形脱毛症を引き起こす説も
ストレスと円形脱毛症の関係は、厳密には解明されていません。
しかし、これまでの事例からは、円形脱毛症を患っている人のなかにはアトピーを併発している人が多いと言われます。
ストレスを感じることによって免疫が弱まり、アトピーなどの皮膚炎になってしまう事例がたくさんあります。
似たような皮膚炎の症状が頭皮に現れることで、頭皮環境が悪くなり、髪の毛が生えづらくなったり、抜け毛が増えたりするかもしれないということ。
結果として、円形脱毛症のような抜け毛の症状がみられる可能性があります。
ストレスはあくまで引き金であり、円形脱毛症の原因は頭皮の炎症であると考えられます。
頭皮の健康を妨げるという意味では、ストレスは健康な髪の毛の敵なのです。
健康な髪を育てて抜け毛を予防するために、ストレス解消は大切
抜け毛の原因が男性ホルモンにあったとしても、頭皮の健康にストレスが悪影響を及ぼさないとも限りません。
抜け毛のリスクを少しでも低くするためにも、ストレスは解消しておきましょう。
抜け毛予防のために気を付けるべき、4つのストレス解消法
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栄養バランスのとれた食事
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規則正しい睡眠
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適度な運動
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定期的な入浴
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正しいシャンプーとドライヤー
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自分なりの「ストレス解消」(趣味に没頭するなど)
【抜け毛対策】ストレス解消法①:栄養バランスのとれた食事
ストレス解消のためには、栄養バランスのとれた食事をしっかりとることがとても大切です。
栄養の偏った食事は、身体にも髪の毛にもよい効果をもたらすことがありません。
野菜や肉、魚、炭水化物などの量に気をつけて、バランスに配慮した食事を心がけましょう。
また、美味しいものや好きなものを食べると幸福感を得られます。
幸せな気持ちはストレスの緩和につながるので、ときどき好きなものを美味しく食べることも忘れないようにしましょう。
【抜け毛対策】ストレス解消法②:規則正しい睡眠
ストレス解消と健康な髪の毛の成長のためには、質のよい睡眠をしっかりとることが大切です。
毎日規則正しく睡眠をとるようにしましょう。
夜決まった時間にぐっすり眠って、朝決まった時間にすっきり目覚めることは、ストレス解消につながります。
また、髪の毛は夜眠っている間に成長します。
髪の毛の成長だけでなく、髪の毛のダメージが補修・回復も、夜寝ている間に行われます。
睡眠不足が続くと髪の毛の成長や補修が妨げられてしまい、抜け毛を招く恐れがあるので、規則正しい睡眠はハゲ予防にとても大切です。
【抜け毛対策】ストレス解消法③:適度な運動
適度に運動をする習慣をつけて、ストレス解消に努めましょう。
適度な運動をすることで、気分がすっきりしたり、適度な疲労によって夜しっかり眠れるようになったり、血行がよくなったりと、運動はメリットばかり。
ストレスが解消されるだけでなく、血行がよくなれば髪の毛に栄養がいきわたるため、抜け毛の予防に一役買ってくれるでしょう。
時間に余裕を持って出発し、一駅歩いたり、エスカレーターを避けて階段を使ったりするだけでも、何もしないよりは効果があります。
無理せず小さなことを継続し、運動する習慣をつけるようにしましょう。
【抜け毛対策】ストレス解消法④:定期的な入浴
いつもシャワーを浴びるだけで済ませてしまうという人も、定期的にお風呂に浸かって入浴すると、ストレス解消につながります。
お風呂に浸かると身体が温まり、交感神経が活性化され、夜ぐっすり眠れるという効果が期待できます。
また、身体が温まると血行がよくなるため、髪の毛の成長に必要な栄養分が頭皮までいきわたるようになるでしょう。
【抜け毛対策】ストレス解消法⑤:正しいシャンプーとドライヤー
シャンプーによる洗髪やドライヤーを正しく行うことで、頭皮環境を改善し、抜け毛を減らすことにつながります。
また、シャンプーは選び方も大切。
お気に入りのシャンプーやコンディショナーを見つけてそれを愛用することでも、ストレスの軽減につながるかもしれません。
【抜け毛対策】正しいストレス解消法⑥:自分なりの「ストレス解消」
ここで上げたストレス解消法は、あくまで一例です。
ストレスの解消は、自分自身が一番合うと思った方法で行うのが最も重要です。
休みを適宜取り、多めの睡眠をとったり、趣味や好きなことに没頭するなどがおすすめ。
ストレスは現代社会では切ってもきれない関係にあるので、少しでも軽減するように日常生活の中で工夫してみてはいかがでしょうか。
人によって症状はさまざま。正しい抜け毛対策は病院で!
ハゲや抜け毛の症状は人によってさまざまですが、科学的な原因はみんな同じです。
100本を超える抜け毛が見られる人は、ストレスではなく男性ホルモンが原因である可能性が高いでしょう。
全国で1,200万人の人が、男性ホルモンの影響でハゲてしまうAGA(男性型脱毛症)を患っていると言われています。
ストレスによる睡眠不足や血行不良は、頭皮環境に悪化につながる可能性がありますが、ストレスが直接抜け毛につながるわけではありません。
抜け毛対策のために、まずはクリニックに相談してみよう!
ハゲや抜け毛に悩む人は、一度医師に相談することが重要です。
頭皮の現状や状態を知らないことには、的確な抜け毛対策は実現しません。
まずは病院に行って、頭皮環境や抜け毛について医師に相談してみましょう。
「過度なストレスを感じるとハゲる」という言説を信じて、最近ハゲてきているのはストレスのせいだと断定するのは性急です。
まずは専門の医師に相談したうえで、生活習慣を改善して発毛に適した健康な頭皮を作りながら、AGAの治療薬で薄毛を改善させましょう。