
2019年04月01日 更新
筋トレするとハゲる? 男性ホルモンとハゲの気になる関係
なぜ筋トレをするとハゲると言われるの?

適度な運動は、代謝の向上やストレスの軽減など、身体にポジティブな影響を与えてくれます。
「筋トレでハゲる」と言われるのは、男性ホルモンが増加するため
ハゲの原因も男性ホルモン
男性ホルモン「テストステロン」は、「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素と結合することで「ジヒドロテストステロン(DHT)」という脱毛を促すホルモンに変換されます。
AGAは、このジヒドロテストステロンによって髪の毛の成長が阻害され、前頭部や頭頂部から薄毛になっていく脱毛症。
この男性ホルモン「テストステロン」がジヒドロテストステロンに変換されることから、「筋トレをすればするほどハゲる」と思われるのです。
結局、筋トレとハゲは関係あるの?

男性ホルモン「テストステロン」がAGAと深い関わりがあると説明しましたが、実は筋トレとハゲにはほとんど関係がありません。
ここからは筋トレとハゲの関係について見ていきます。
筋トレで「ジヒドロテストステロン(DHT)」が増えるわけではない
筋トレをすればするほどテストステロンは増えますが、AGAの原因となる「ジヒドロテストステロン(DHT)」が増えるわけではありません。
ジヒドロテストステロンは、テストステロンが5αリダクターゼと結合することで生成されるもの。
筋トレによってテストステロンがどんなに多く分泌されても、「5αリダクターゼ」の分泌量が少なければジヒドロテストステロンは生成されにくいのです。
また、ジヒドロテストステロンを受容する男性ホルモン受容体の感度によっても、ハゲやすい体質かどうかが決まると言われています。
5αリダクターゼの分泌量も男性ホルモン受容体の感受性も、筋トレのしすぎではなく、体質や遺伝によるもの。
そのため、筋トレで発生する男性ホルモンの影響でハゲるとは考えにくいでしょう。
筋トレでたんぱく質不足にはならない
筋トレをすると、筋肉の繊維を回復するためにたんぱく質が消費されます。
たんぱく質は髪の毛を構成する重要な成分のため、筋トレによるたんぱく質不足でハゲるのではないかと考えられがち。
しかし、ダイエットなどによる極度な食事制限を行わない限り、普段の生活でたんぱく質が不足することは少ないと言われています。
むしろ、筋トレの一環でよく飲用される「プロテイン」は、たんぱく質が豊富に含まれているため、髪の毛に必要な栄養を補給することができるでしょう。
活性酸素は抜け毛に影響しない
活性酸素は、しばしば「身体にとって悪い物質」として取り上げられますが、細胞の健康を助ける重要な役割を持っています。
人間が酸素を受け取るとき、一部は活性酸素として吸収されます。
筋トレのようなハードなトレーニングを行うと、より多くの酸素を吸収するため、それだけ活性酸素の量も増えるのです。
「活性酸素は体全体の酸化を招いて老化を早めるからハゲる」と考える人も多いかもしれませんが、活性酸素の影響で抜け毛が起こるとは考えにくいでしょう。
逆に慢性的な運動不足は、肥満や血行の悪化などを招き、頭皮環境の悪化につながるおそれがあるので要注意です。
筋トレでハゲやすい人っているの?その3つの特徴とは?

筋トレとハゲは関係はありませんが、さまざまな要素が関係して筋トレによってハゲのリスクが高まる人もいます。
筋トレによって、ハゲのリスクが高まってしまう人の特徴を3つ紹介しましょう。
AGA(男性型脱毛症)が進行している、またはAGAと診断されている人
薄毛が気になり始めた場合、AGAを発症している可能性があります。
AGAとは、ジヒドロテストステロンの影響で毛髪の成長が妨げられてしまう脱毛症のこと。
AGAが進行している、またはAGAと診断されている人は、5αリダクターゼの分泌量が多い状態です。
5αリダクターゼが多い状態に加え、筋トレによってテストステロンの分泌量も多くなれば、ジヒドロテストステロンの生成が促進され、AGAの進行を早めてしまうことにもなりかねません。
AGAとは診断されていないけれど薄毛が気になる人は、すぐにAGAの専門クリニックでのカウンセリングをおすすめします。
家族や親戚に薄毛の人が多い人
家族や親戚の中でも、母方の親戚に薄毛の人が多い場合はとくに注意が必要です。
AGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成を左右するのは、5αリダクターゼの分泌量と男性ホルモン受容体の感度。
5αリダクターゼの分泌量の遺伝子は、両親のどちらかが持っていれば子に受け継がれる優性の遺伝子、男性ホルモン受容体の感度はX染色体に存在するため母方から遺伝しやすいと考えられています。
ハゲに関わると言われる遺伝子を引き継いでいる人は、筋トレによるテストステロン分泌量増加にともなって、ハゲるリスクが高くなってしまうかもしれません。
生活習慣が乱れている人
筋トレと直接関係はありませんが、生活習慣の乱れは頭皮環境の悪化につながります。
頭皮環境を悪化させる生活習慣の例として挙げられるのは、偏った食生活や過度な飲酒・喫煙、睡眠不足など。
生活習慣を改善したからといってハゲが改善されるわけではありませんが、余計な抜け毛を増やさないためにも規則正しい生活は大切です。
また、「ハゲやすい男性ホルモン」を持ちながら生活習慣が乱れていると、よりハゲるリスクが高まるおそれがあるため注意しましょう。
研究から見る筋トレとハゲの関係性

ここまで、筋トレをしたからといってハゲるわけではないと説明してきました。
つづいて、男性ホルモンとハゲの研究をもとに、両者の関係性を見ていきましょう。
男性ホルモンとハゲについての研究
男性ホルモン「テストステロン」が薄毛に与える影響について、1942年にアメリカで行われた「ハミルトンの実験」という研究実績があります。
アメリカのジョージ・B・ハミルトン氏は、テストステロンを分泌して精子を作る「睾丸」を摘出、つまり去勢をすればハゲなくなるという仮説を立て、臨床試験を実施。
その結果、以下のことが判明しました。
「ハミルトンの実験」の結果
-
①睾丸を摘出した男性はハゲにならなかった
- ②ハゲが進行している人の睾丸を摘出した結果、それ以上ハゲは進行しなかった
- ③ハゲ進行中に睾丸を摘出し、進行が止まっていた男性にテストステロンを注射した結果、再びハゲが進行した
- ④元々ハゲていなかった男性は、睾丸を摘出した後に男性ホルモン(テストステロン)を注射してもハゲなかった
「ハミルトンの実験」では、上記①・②・③の結果から、「男性ホルモンがハゲの原因である」ということは示されました。
ただし、上記④からわかったことは、「ハゲる原因は男性ホルモンの多さではなく男性ホルモンに関わる別の要因」ということ。
その「別の要因」が、「5αリダクターゼの分泌量」と「男性ホルモン受容体の感受性」だと考えられました。
AGAの原因は、テストステロンが5αリダクターゼと結びつくことであって、5αリダクターゼの分泌量が少なければ、テストステロンだけがいくら多くてもAGAを発症することはないでしょう。
したがって、筋トレでテストステロンが多く分泌されたからといってハゲるわけではないということです。
AGA治療薬の効果からもわかる! 男性ホルモンとハゲの関係
ハゲを治すためには、科学的に効果が認められたAGA治療薬の服用が適切。
AGA治療薬の「プロペシア」と「ザガーロ」は、5αリダクターゼを阻害することによってAGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑制します。
このことからも、ハゲの原因はテストステロンの多さではなく、5αリダクターゼの分泌量がAGAの発症を左右していることがわかるでしょう。
筋トレ=ハゲるわけではない

筋トレとハゲの関係性や、AGAのメカニズムや原因について説明してきました。
ハゲが気になり始めたら適度な運動と、AGA専門クリニックで正しい対策が必要です。
ハゲが心配だからといって筋トレをやめる必要はなし
ハゲの原因は筋トレに関係するテストステロンではないため、筋トレをしすぎたからといってハゲるとは限りません。
逆に、ハゲているから筋トレを止めたとしても、ハゲが治るようなことはないのです。
また、適度な運動は健康だけでなく、頭皮環境の維持にも効果的なので続けるようにしましょう。
正しいハゲ対策はAGA専門クリニックへ
ハゲ・薄毛の原因は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンの影響。
このジヒドロテストステロンの生成を抑制することで、効果的にハゲを改善することができます。
効果が認められているAGA治療薬は、「ミノキシジル」「フィナステリド」「デュタステリド」の3つ。
筋トレや運動をはじめとする生活習慣の改善で頭皮環境を整えることも大切ですが、ハゲを治すためにはAGA治療薬による投薬治療が必要です。
AGA専門クリニックで治療薬の処方を受けることができます。
多くのAGA専門クリニックで無料カウンセリングを実施しているので、薄毛が少しでも気になったら、まずは医師に相談してみるといいでしょう。