
2018年08月02日 更新
AGAに効果ナシ? 注目成分「アデノシン」の育毛効果
アデノシンって何?

「アデノシン」という名前は聞いたことがあっても、アデノシンがどのような成分か理解している人は少ないと思います。
アデノシンのAGA(男性型脱毛症)への効果を解説する前に、アデノシンが一体どんな成分なのかを解説します。
アデノシンとは
アデノシンとは、核酸(DNA・RNA)を構成するヌクレオシド(塩基と糖の化合物)の一種です。
アデノシンが、さらにリン酸と結合すると「アデノシン3リン酸(ATP)」という物質に変化。
このアデノシン3リン酸は、「生体のエネルギー通貨」と称されるほど、体内のエネルギー保存・供給に大きく関わる物質です。
また、アデノシンは、育毛効果が期待されている成分の1つでもあります。
本来は心臓疾患診断補助剤
アデノシンに期待できる効果・効能は、育毛に対するものだけではありません。
アデノシンは、心疾患患者に対して使用される医療用医薬品で、心臓疾患の診断を行う場合に使われます。
研究が進められた結果、アデノシンは、育毛効果が期待できる成分だということが明らかになりました。
育毛成分としてのアデノシン
アデノシンは、育毛効果が期待される成分として、2004年10月に厚生労働省から「医薬部外品」として認可を受けました。
医薬部外品は、医薬品とは違い、“治療効果”は認められていません。
医薬部外品とは、「有効であると認められた成分が一定量含まれているが、効果は医薬品ほど強くないもの」です。
医薬品は治療を目的として使用されますが、医薬部外品は予防・現状維持を目的として使用されます。
アデノシンに期待されているAGAへの効果

では、アデノシンに期待されるAGAの治療効果や、育毛効果は、具体的にどのようなものなのでしょうか?
アデノシンの育毛効果について解説していきます。
アデノシンの育毛効果
- ①血行促進作用
- ②成長因子「FGF-7」を活性化させる
- ③脱毛予防
①血行促進
アデノシンには、血管を拡張させる作用があるため、血行を促進させ、毛根に栄養や酸素を十分に行き渡らせる効果が期待できます。
同じような効果をもつ成分で、育毛効果が認められている「ミノキシジル」という医薬品があり、アデノシン同様、血管を拡張させ、頭皮の血行を促進させる効果があります。
アデノシンには、医薬品のミノキシジルほど効果はありませんが、ミノキシジルと同じく血行を促進する成分であると言っていいでしょう。
②成長因子「FGF-7」を活性化させる
タンパク質の一つである、「FGF-7」。
アデノシンには、このFGF-7を増やす働きがあります。
FGF-7は成長因子とも呼ばれていて、髪の毛を生み出す毛母細胞を活性化させる効果があると考えられています。
毛母細胞が活性化されれば、髪の毛の成長も促されるため、育毛効果が期待できるという理屈です。
また、アデノシンはもともと体内に存在する成分であるため、比較的速やかに毛根まで届き、育毛効果を発揮すると言われています。
③脱毛予防

髪の毛が生えてから抜けるまでの期間を毛周期と呼びます。
毛周期には、髪の毛が成長する「成長期」、成長が止まりはじめ脱毛の準備をする「退行期」、成長が完全に止まり脱毛を待つ「休止期」があります。
アデノシンには、毛周期のうち「成長期」を伸ばす作用があるとされ、脱毛の予防に役立つと考えられているようです。
アデノシンのAGAに対する有用性って?

2017年ガイドラインにおけるアデノシン外用は、ランクB「行うよう勧められている」
AGAの診断マニュアルである「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」には、アデノシン外用についても記載されていますが、推奨レベルは「B(行うよう勧める)」に該当します。
アデノシン外用は、男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいてその有用性が認められているのです。
女性に対してのアデノシンはランクC1「行ってもよい」
男性型脱毛症に対してはランクBに評価されているアデノシンですが、女性に対しての推奨レベルはC1 ランク(行ってもよい)に留まります。
つまり、AGA治療に有効である根拠は十分ではないが、安全性は認められていて、処方しても問題ないというレベルだということです。
アデノシンを含んだ育毛剤

育毛効果が期待され、厚生労働省にその効果を認可された「アデノシン」。
アデノシンを配合した育毛剤の多くは、資生堂が販売しています。
ここでは、アデノシンを含んだ育毛剤について紹介します。
アデノシンを含んだ男性用の育毛剤
アデノシンを含む男性用の育毛剤に「薬用アデノゲンEX」。
薬用アデノゲンEXには、アデノシンの他に「パナックスジンセンエキス」と「ソフォラ抽出エキス」などの育毛成分が含まれています。
頭皮マッサージと合わせて使用すれば、育毛剤の浸透を促すことができ、より高い育毛効果を得ることができるかもしれません。
アデノシンを含んだ女性用の育毛剤
資生堂が販売する女性向けの育毛剤「アデノゲン グレイシィ」。
有効成分アデノシンを含み、血行促進作用や抜け毛の予防効果が期待できます。
アデノシンの副作用・注意点

アデノシンの安全性について、疑問や不安を抱く人もいるでしょう。
アデノシン配合の育毛剤などを試す際には、副作用・注意点などが気になりますよね。
アデノシンの副作用と注意点について見ていきましょう。
アデノシンを含んだ育毛剤は医薬部外品
アデノシンを含む育毛剤は医薬部外品に該当します。
治療成分は含まれていないため、医薬部外品である育毛剤を使用しても、薄毛の治療効果は期待できません。
医薬部外品である育毛剤は、薄毛治療を目的として使用するのではなく、予防を目的として使用しましょう。
アデノシンの副作用
6ヶ月間に渡るアデノシンの使用では、被験者に副作用が出なかったと報告されました。
そのため、アデノシン単体での副作用はほとんどないと言われています。
アデノシンはもともと体内に存在する物質のため、外から取り入れても身体に悪影響が出ることはないと考えられているようです。
ただし、アデノシン配合の育毛剤には、アデノシンの他に植物エキスや添加物も含まれています。
その植物エキスや添加物などの人工物が副作用を引き起こす可能性があるので、アデノシン配合の育毛剤だからといって必ずしも副作用が出ないというわけではありません。
アデノシン成分が配合された育毛剤を使うときは、薬剤師や医師と相談するようにしましょう。
カフェインと相性が悪い
カフェインは、アデノシンの働きを弱めると言われています。
眠気を払う作用のあるカフェインは、「アデノシン受容体」と結合して眠気を誘発するアデノシンの働きを抑制してしまうのです。
そのため、アデノシンを含む育毛剤を使う際は、カフェインを摂りすぎないようにしましょう。
アデノシンよりも推奨度が高い「AGA治療薬」
ここまで、アデノシンの持つ効果について説明してきました。
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」において、ランクBに位置付けられているアデノシン。(※ 女性に対してはC1)
アデノシンには血行促進作用、FGF-7を増やす作用、脱毛防止作用があると言われています。
しかし、AGAの根本的な原因である、ジヒドロテストステロンの生成を抑制するような作用はありません。
つまり、アデノシンの外用だけでは、AGAの根本的な解決にはならないのです。
AGA治療に効果が認められている医薬品は以下の3種類です。
3つのAGA治療薬
- ミノキシジル
- フィナステリド(プロペシア)
-
デュタステリド(ザガーロ)
アデノシンよりも推奨度が高いAGA治療①:ミノキシジル外用療法
ミノキシジル外用薬による投薬治療は、男性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、最も推奨度の高い「ランクA(行うよう強く勧められる)」の治療に指定されています。
髪の毛を作る毛乳頭細胞に直接働きかけることで発毛を促す「ミノキシジル」。
血管拡張作用を持つミノキシジルを塗布することで、血流が促され、髪の毛の成長に必要な栄養素を行き渡らせる効果が期待できるのです。
アデノシンよりも推奨度が高いAGA治療②:フィナステリド(プロペシア)内服療法
ガイドラインにて発毛効果が認められている「フィナステリド」。
フィナステリドは、AGAの原因である「ジヒドロテストステロン」の生成を抑制する効果が認められています。
アデノシンよりも推奨度が高いAGA治療③:デュタステリド(ザガーロ)内服療法
日本国内では、「ザガーロ」というデュタステリドを有効成分としたAGA治療薬が販売されています。
医薬品成分デュタステリドは、フィナステリドと同様に、5αリダクターゼ阻害効果によって、ジヒドロテストステロンの生成を防ぎ、薄毛・抜け毛を治療します。
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今回は、育毛効果があると言われているアデノシンについて解説してきました。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、アデノシンの外用によるAGA治療はランクBに位置づけられています。
AGAの治療法には、アデノシンの外用よりも推奨されている治療法があります。
効果的なAGA治療を受けるなら病院へ!
AGA治療でもっとも効果的かつポピュラーな治療は投薬治療です。
AGA治療薬である、プロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)はAGAの原因である「5αリダクターゼ」の働きを抑制する作用があり、AGAを原因から治療することができます。
これらの治療薬は、ドラッグストアなどで購入することができず、病院で処方を受けなければ使用することができません。
もし、「本気でAGAを治したい」と考えているならば、AGA専門クリニックの無料カウンセリングを試してみてはいかがでしょうか?
病院での正しい治療で、確実な治療を始めましょう!