
2019年03月30日 更新
【完全版】AGA治療薬「デュタステリド」の効果・費用・発毛までの期間は?
デュタステリドとは一体何なの?

デュタステリドとは①:AGAの原因「ジヒドロテストステロン」を抑制する効果がある
デュタステリドの効果は、還元酵素「5αリダクターゼ」に働きかけ、AGAの原因のひとつである男性ホルモン、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制すること。

これにより、ヘアサイクルが正常化し、発毛を促すことができるという仕組みです。
つまり、デュタステリドを服用すると、治療前よりも太く長い毛の本数を増やす効果が期待できます。
デュタステリドとは②:前立腺肥大症の治療薬として以前から使用
デュタステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として製造・販売されていました。
日本ではアボルブという名前で発売され、厚生労働省から認可を受けたのは2009年のことです。
それまで、前立腺肥大症の治療として有効とされていたのは手術治療のみという状態で、効果的な治療薬はまだありませんでした。
2009年にデュタステリドを含むアボルブが発売されて以降、前立腺肥大症の治療に広く用いられるようになったのです。
アボルブとザガーロは名前の異なる薬ですが、どちらもデュタステリドが有効成分として含まれています。
デュタステリドとは③:2017年に推奨度ランクAを獲得したAGA治療薬
AGA治療には、さまざまな治療法があります。
2017年に日本皮膚科学会が定めた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、治療法が推奨度ごとにランク付けされています。
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」推奨度の分類
- A:行うよう強く勧められる
- B:行うよう勧められる
- C1:行ってもよい
- C2:行わないほうがよい
- D:行うべきではない
デュタステリドは新しいAGA治療薬のため、従来の2010年版「男性型脱毛症診療ガイドライン」には、記載されていませんでした。
2017年版のガイドラインにおいて、デュタステリドの項目に「男性型脱毛症にはデュタステリド内服を行うよう強く勧める」と新しく記載されました。
これは、デュタステリドの症例数が最も多い日本を含む国際臨床試験の結果を根拠とするものです。
【まとめ】デュタステリドとは?
- AGAの原因「ジヒドロテストステロン」を抑制し、薄毛の進行を食い止める効果がある。
- 2017年版「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」で新たに推奨度Aランクに認定された。
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デュタステリドが含まれる治療薬「ザガーロ」とは

デュタステリドを有効成分としたAGA治療薬「ザガーロ」は、2016年6月に発売された比較的新しい薬。
AGA治療薬にデュタステリドを使用する場合は、基本的にザガーロとして服用します。
「ザガーロ」という名前は、「究極」という意味を持つZと、「AGA」を組み合わせたと言われています。
デュタステリドの発毛効果に関するデータがある
デュタステリドを製造・販売しているグラクソ・スミスクライン(GSK)社が、デュタステリドの発毛効果に関するデータを提供しています。
このデータでは、ザガーロを服用した100人以上の検体を対象としています。
測定したのは、「デュタステリドの服用24週間で、頭頂部の直径1インチ(2.54cm)の円の中に髪の毛が何本増えたか」という数値。
結果は、ザガーロ0.1mgを服用した人で平均63.0本、ザガーロ0.5mgを服用した人で平均89.6本増えるというものに。
この円の中に約60〜90本程度髪の毛が増えるとなると、目に見える効果として認識することができるでしょう。
気になるザガーロ(デュタステリド)の用法・用量

ザガーロ(デュタステリド)の用法は「1日1回1錠」
デュタステリドを服用するには、ザガーロカプセル0.1mgとザガーロカプセル0.5mgのどちらかを選ぶことになります。
デュタステリドは、細長い楕円形の軟カプセル剤に入っていて、通常1日に1回経口投与するタイプの薬。
グラクソ・スミスクライン社は、0.1mgをベースとして、必要に応じて0.5mgを選択することを推奨しています。
デュタステリドの服用は食前・食後などの指定はなく、自分のタイミングで服用することが可能。
ただし、1度服用したら次の服用まで24時間の間隔を空ける必要があります。
もし、デュタステリドの服用を忘れてしまった場合には、気づいたときに服用するか、1回分スキップするか選択することになります。
飲み忘れたとしても、1日1回1錠という用法は守らなければなりません。
デュタステリドを服用してから効果が出るまでの時間

デュタステリドは通常6ヶ月以上服用しなければならない
デュタステリドの効果を実感するには、継続した服用が大切です。
服用を開始してから12週間程度で効果が見られる場合もありますが、通常は6か月程度の治療が必要とされています。
デュタステリドの濃度が下がってしまうと、還元酵素「5αリダクターゼ」を抑えることができず、AGAの原因となる「ジヒドロテストステロン」が生成されてしまうからです。
デュタステリドの服用を何日か忘れてしまったり、服用を中断してしまうと、効果が持続せずに薄毛が再び進むことになりかねません。
そうならないためにも、服用を継続して効果を持続させることが大切なのです。
デュタステリドには副作用はあるのか

【デュタステリドの副作用】性機能を中心に副作用が起こりうる
デュタステリドを服用した場合、性機能に関するものを中心に次のような副作用が想定されます。
デュタステリド服用による主な副作用
- 勃起不全(ED)4.3%
- リビドー減退(性欲減退)3.9%
- 精液量減少1.3%
デュタステリドの副作用は、「第Ⅱ・Ⅲ相国際共同治験」で報告されているものです。
ここで注意すべきなのは、「副作用発生のリスクがある=デュタステリドを飲んだら必ず副作用が起きる」は間違いということ。
デュタステリドの副作用に関する国際共同試験において、デュタステリドを服用した557例(日本人例120例を含む)のうち、副作用の発現率は17.1%でした。
こちらもわずかではありますが、性機能に関する副作用だけでなく、肝機能障害の副作用も報告されています。
もし肝機能について不安がある人は、服用する前にその旨を医師に伝えましょう。
デュタステリドを服用してはいけない人

デュタステリドは、服用してはいけない人が明確に定められています。
デュタステリドを服用してはいけない人①:未成年
まず、デュタステリドを服用できない人に挙げられるのが未成年の人です。
デュタステリドは、20歳未満の患者に対する安全性が確立されていません。
デュタステリドに限らず、フィナステリドも同様に未成年の服用ができません。
未成年の人がAGA治療を行う場合は、こちらも最初に必ずクリニックで相談することをおすすめします。
デュタステリドを服用してはいけない人②:重度の肝機能障害を持つ人
次に、重度の肝機能障害がある人です。
デュタステリドが肝臓でうまく代謝されず、結果としてデュタステリドの血中濃度が過度に上昇する危険性があるからです。
肝機能が心配な人は、服用する前にその旨を医師に相談するようにしましょう。
デュタステリドを服用してはいけない人③:女性(とくに妊娠中・授乳中)
最後は女性、とくに妊娠中や授乳中の人です。
大前提として、デュタステリドはAGAの成人男性のみに適用される治療薬です。
女性には効果がないばかりか、妊娠中や授乳中に服用してしまった場合、胎児や乳児に悪影響を及ぼすことが考えられます。
また、デュタステリドは皮膚を通して体内に吸収される性質を持つので、カプセル内の粉末にも触れないよう気をつけましょう。
「デュタステリド」と「フィナステリド」はどう違うのか

デュタステリドの方が強力なAGA治療効果を持つ!
デュタステリドの他、「フィナステリド」と呼ばれるAGA治療薬もあります。
フィナステリドの効果は、デュタステリドと同じくAGAの原因「ジヒドロテストステロン」の抑制。
フィナステリドは、デュタステリドよりも先に販売が開始されているAGA治療薬で、国内でも以前から広く処方されています。
これはデュタステリドの方が、フィナステリドよりもAGA治療効果が高いと言われているため。
5αリダクターゼには、1型と2型があり、フィナステリドが阻害できるのは2型です。
一方のデュタステリドは、1型と2型の両方を阻害することができるので、より効果的なのです。
また、デュタステリドが持つ5αリダクターゼ2型の阻害効果は、フィナステリドの約3倍とされ、とある研究では、デュタステリドが持つ発毛効果はフィナステリドの約1.6倍強力と言われています。
デュタステリドの費用はいくら?

【デュタステリドの費用】1ヶ月の相場は約8,000円から
AGA専門のクリニックでザガーロを処方してもらうと、1ヶ月分の価格相場は1箱30錠で約8,000~12,000円になります。
現状、AGAの治療は自由診療で保険が適用されないので、どこのクリニックで受診しても全額自己負担です。
デュタステリドの費用以外にも、診察や検査の費用も必要となるので、毎月の出費について考えることになります。
クリニックによっては、初回限定でデュタステリドの費用を安くしたり、あるいは無料に設定してもらえるところもあります。
まずは、さまざまなAGAクリニックにおける価格設定を比較するのがよいでしょう。
【デュタステリドの費用】デュタステリドの個人輸入はNG!
デュタステリドをできるだけ安く購入しようと個人輸入を検討する人がいますが、おすすめできません。
厚生労働省は、デュタステリドなどの医薬品の個人輸入について大きく2つの注意喚起を行っています。
まず、正規のメーカー品と偽った偽造製品の可能性があることや、不衛生な場所や方法で製造された粗悪品である可能性があることなど、品質や安全性についてです。
そして、「医薬品副作用被害救済制度」の適用がないという点にも注意が必要でしょう。
「医薬品副作用被害救済制度」とは、国内で法律を遵守して販売されている医薬品を正しく使用したにも関わらず、重大な健康被害が生じた場合の救済措置のこと。
この制度は、個人輸入で手に入れた医薬品は対象とならないので、デュタステリドを個人輸入して健康被害が出ても自己責任となります。
デュタステリドはAGA専門クリニックの処方が原則!

デュタステリドの効果・費用・発毛までの期間などまとめると……
- 【効果】AGAの原因「ジヒドロテストステロン」を抑制し、薄毛の進行を食い止める効果がある。フィナステリドよりも治療効果が高い
- 【科学的根拠】2017年版「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」で新たに推奨度Aランクに認定された。
- 【飲み方】用法・用量は「1日1回1錠」
- 【費用】1ヶ月あたりの費用相場は約8,000円
- 【発毛期間】通常は6ヶ月以上の服用が必要
- 【副作用】性機能を中心に5%以内の確率で副作用が起きる可能性がある
- 【注意点】女性・未成年は服用しない
- 【入手方法】クリニックで医師の処方を受けること
AGA治療はまず専門のクリニックに相談しよう!
デュタステリドは、人によって服用する推奨量が変わったり、服用ができないタイプの人もいる治療薬。
デュタステリドの服用を考えるときは、個人の判断ではなく、AGA専門のクリニックで処方してもらうようにしてください。
クリニックによっては、先生の判断と責任の下で、ザガーロ以外のデュタステリドを処方するところもあります。
また、一部の皮膚科や美容クリニックでは、デュタステリドの処方を行っている場合も。
ただ、デュタステリドの服用には薬の性質上、専門知識を持つ先生がいるクリニックで受診することが一番安心です。
AGAは自分に合った治療法が一番効果的
AGAの治療は、自分に合った治療法で行いましょう。
大切なのは、AGA専門のクリニックで、自分に合った治療法を探すこと。
AGAの治療には、カウンセリングだけでなく、血液検査や遺伝子検査といった方法が用いられるなど、診療が専門的です。
治療薬にも、デュタステリドを主成分とするザガーロ以外にもプロペシアやミノキシジルといったものがあり、経過を見ながら薬を変えることもあります。
デュタステリドは、比較的新しい薬として注目されていますが、処方に関しては先生とよく相談してみてください。
● 毛髪診断士コメント
薄毛はデュタステリドをはじめとした薬で治せる時代です。
自分に合ったAGA治療薬を見つけるためにも、一度病院の先生に相談してみましょう。