
2018年09月03日 更新
細い髪の毛は薄毛の前兆? 髪の毛が細い原因と正しい頭皮ケア
細い髪の毛は薄毛の初期症状の可能性も

薄毛の兆候の一つである、細い髪の毛が増える現象。
薄毛の原因の多くは、髪の毛の成長期が阻害されることです。
髪の毛の成長期が阻害されると、当然、太く健康な髪の毛を作り出すこともできなくなってしまうため、細い髪の毛が増えてしまいます。
細い髪の毛が増えてきたと感じたら、できるだけ早くケアを始めることが大切です。
ヘアサイクルの乱れが細い髪の毛を生み出す
私たちの髪の毛は、ヘアサイクルと呼ばれる一定の成長サイクルによって、発毛と脱毛を繰り返しています。
ヘアサイクルには、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間があります。
ヘアサイクル
- 成長期:髪の毛が生え、成長する期間
- 退行期:髪の毛の成長が衰える期間
- 休止期:髪の毛の成長が止まり、新たな髪の毛が生えてくるのを待つ期間
ヘアサイクルの周期は人それぞれですが、一本の髪の毛が生えてから自然脱毛するまで1,000〜2,000日の期間を要するのが一般的。
ところが、何らかの影響で成長期が短くなると、髪の毛が太く長く成長できなくなります。
すると、細いまま抜け落ちてしまう髪の毛が多くなるのです。
髪の毛が細いということはヘアサイクルが乱れて、髪の毛の成長が阻害されていることを意味し、そのまま放置すれば、髪の毛が抜けるスピードに発毛スピードが追いつかなくなり、薄毛が悪化します。
つまり、薄毛を改善するには、ヘアサイクルを整えることが非常に重要なのです。

ヘアサイクルを乱して細い髪の毛を増やすAGA
薄毛を引き起こす脱毛症はさまざまですが、とくに多く見られるのがAGA(男性型脱毛症)という脱毛症です。
AGAの原因は、「ジヒドロテストステロン」という男性ホルモン。
ジヒドロテストステロンには、髪の毛の成長期を短くする作用があるのです。
通常なら約1,000〜2,000日という周期でヘアサイクルが一周するのですが、ジヒドロテストステロンによって髪の毛の成長期が短縮されると、髪の毛が生えてからたった100日程度で髪の毛が抜けてしまうことも。
成長期が短くなって髪の毛の成長が十分に行えないと、髪の毛は細くなります。
ヘアサイクルは、回数の上限が決まっており、上限に達するとそれ以上その毛根から髪の毛を生やすことができなくなるため、髪の毛が抜けるスパンが早くなると、毛根の寿命も短くなるのです。
細い髪の毛を放置すれば、いずれ完全に髪の毛がなくなってしまうかもしれません。
とくに、頭頂部と前髪の生え際付近の髪の毛が細い場合は、AGAを発症している可能性が高いので注意してください。
後天的に髪の毛が細くなることも

日本人の髪の毛の太さは、0.08mmが平均であるとされています。
平均よりも髪の毛が細いと感じる場合、薄毛のリスクを疑ってしまう人も多いかもしれません。
しかし、生まれつきの髪の毛の太さは、薄毛とはあまり関係がありません。
髪の毛の太さには個人差があり、生まれつき細い人もいれば太い人もいます。
もともと髪の毛が細い体質の人なら、ヘアサイクルが乱れて髪の毛が細くなっているわけではないため、あまり心配いりません。
注意すべきは、「昔は確かに硬くコシがある髪の毛だったのに、いつの間にか柔らかく細くなった」という後天的に髪の毛が細くなってしまった人。
この場合は、何らかの影響で髪の毛の成長が衰えている可能性があります。
細い髪の毛はどうやって見つける?

日本人の髪の毛の平均値は約0.08ミリですが、精密な計測器を持っていない限り、自分の髪の毛の太さを計るのは難しいでしょう。
ただし、正確な数値までは分かりませんが、自分の髪の毛が細いかどうかを判断するのは非常に簡単です。
まず10センチ程度の自分の髪の毛を用意し、横向きに持ってみてください。
この時、髪の毛がピンと横向きに形を維持しているなら太い髪の毛、すぐに下に垂れてしまうなら細い髪の毛だと判断できます。
この方法なら計測器も必要なく誰でも手軽に行えるので、髪の毛の細さを確かめたい人は試してみてください。
抜け毛が短い場合も要注意
AGAを発症すると、ヘアサイクルが短縮され、髪の毛の脱毛スピードが速くなります。
このため、AGAは細い髪の毛が増えること以外に、短い抜け毛が増えるという特徴も持っています。
成長期が短くなることで髪の毛が十分に成長できないまま抜けてしまうため、他の髪の毛と比べて明らかに短い抜け毛になってしまうのです。
短い抜け毛が増えてきたということは、毛母細胞の働きが弱っていると考えられます。
心当たりがある人は、早めに医師に相談することをおすすめします。
AGA以外の細い髪の毛を助長する要因

髪の毛を細くする原因は、AGAの他にもあります。
女性ホルモンの乱れや頭皮の栄養不足、頭皮環境の乱れによって髪の毛が細くなることもあるのです。
細い髪の毛を改善するためには、それぞれの要因に適したケアを行う必要があります。
そのため、まずは自分の髪の毛が細いのはなぜか、突き止めましょう。
女性ホルモンの乱れでも薄毛は起きる
薄毛と聞くと男性の悩みといったイメージが強いですが、女性にも薄毛の危険はあります。
女性の髪の毛が細くなる主な原因は、女性ホルモンの乱れ。
女性ホルモンには、ヘアサイクルを延ばして髪の毛の成長期を伸ばす作用があるため、この女性ホルモンの数が減少すると、髪の毛が細くなったり薄毛になったりするおそれがあります。
また、女性の身体でも男性ホルモンが分泌されており、ホルモンバランスが崩れて男性ホルモンが優位に立つと、ヘアサイクルが乱されて細い髪の毛や抜け毛が増えてしまいます。
女性ホルモンが減少することによって起こる薄毛や軟毛化は、頭皮全体に影響する「びまん性」という特徴を持つため、薄毛がかなり進行するまで症状に気付かない人も多いようです。
女性ホルモンの大きな乱れは、更年期に起こるため、薄毛に悩む女性の多くは更年期以降の年代です。
ただし、無理なダイエットや過剰なストレスなどでホルモンバランスが乱れることも多く、若い女性でも細い髪の毛になってしまう可能性はあります。
● 毛髪診断士コメント
男性も女性も、髪の毛の成長には性ホルモンが関わっています。
栄養不足でも細い髪の毛になる
髪の毛は、頭皮にある毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで成長しています。
細胞が活発に活動するためには、エネルギー源となる栄養素が必要で、髪の毛を作り出すためにも亜鉛やアミノ酸、ビタミンなど多くの栄養を必要とします。
これらの栄養素は髪の毛を構成する材料になったり、毛母細胞の活動をサポートしたりするなど、さまざまな働きを担っており、不足すれば健康な髪の毛を作り出すことは難しくなるでしょう。
栄養不足が続けば、毛母細胞が太くハリのある髪の毛を作り出すことができなくなり、細い髪の毛が増えてしまうかもしれません。
頭皮環境の乱れ
頭皮は髪の毛が生えるための土壌のような存在であり、頭皮環境が悪化すれば健康な髪の毛を生やすことは難しいです。
頭皮環境が乱れたからといって直接薄毛を引き起こすわけではありませんが、薄毛の進行を早めたり症状を悪化させたりする可能性は高くなるでしょう。
「頭皮の血行の悪化」や「フケの発生」、「炎症」などの頭皮環境の乱れは、いずれも細い髪の毛を助長する要因。
血行が悪化すれば毛母細胞に必要な栄養が行き渡りませんし、フケは毛穴を詰まらせ炎症を起こしやすくします。
頭皮が炎症を起こせば、炎症部分から薄毛が広がる可能性も考えられます。
畑の状態が悪ければよい作物が育たないのと同じように、頭皮環境が乱れると細い髪の毛や抜け毛が増えてしまうので、常に注意しておく必要があるでしょう。
細い髪の毛を太くするには

細い髪の毛を太くするためには、毎日のケアが欠かせません。
続いては、健康な髪の毛を取り戻すためのケアを紹介します。
シャンプーを見直そう
髪の毛を太くするために、まず実践したいのが「毎日のシャンプーを見直すこと」です。
シャンプーは毎日行う頭皮ケアの一つ。
毎日、間違ったやり方でシャンプーをしていると、髪の毛の健康を損なってしまいます。
逆に、毎日正しいシャンプーを心がけることで、頭皮環境を整えて細い髪の毛を改善できるかもしれません。
まずは自分の頭皮に適したシャンプーを選部ことから始めましょう。
シャンプーする際は爪を立てて力強く洗うのではなく、指の腹で頭皮をマッサージするように洗うと、頭皮へのダメージを避けられます。
ゴシゴシ洗わなくても、十分に汚れは落ちるので、くれぐれも力いっぱい洗うのは避けましょう。
『シャンプー』に関するおすすめ記事
シャンプーで頭皮が変わる? 頭皮に優しいシャンプーの選び方と使い方
育毛剤(医薬部外品)を使用する
市販されている育毛剤(医薬部外品)を使用するのも効果的です。
医薬部外品の育毛剤には血行促進効果や頭皮の殺菌効果、頭皮への栄養補給効果などがあります。
育毛剤が持つ効果は、頭皮環境改善に一役買うものばかり。
育毛剤を毎日使用することで、細い髪の毛の改善をサポートしてくれるでしょう。
ただし、医薬部外品の育毛剤には直接発毛を促す効果はなく、あくまでも頭皮環境を整えて強い髪の毛を生やす手助けをしてくれるだけなので、過剰に期待しすぎてはいけません。
生活習慣を改善する
ストレスの発散や栄養バランスの整った食事、十分な睡眠などにも気を配りましょう。
ストレスや睡眠不足は疲労や血行悪化につながりますし、偏った食事では髪の毛の成長に必要な栄養を摂取することはできません。
また、血管を収縮させて血行悪化を招くタバコや、代謝の際に多くの栄養を消費するアルコールなどの嗜好品は、できるだけ控えたほうがよいでしょう。
健康な髪の毛に欠かせない栄養素
数ある栄養素の中でもとくに髪の毛の成長に大切なのが、「亜鉛」と「アミノ酸」、「ビタミン類」。
まず髪の毛を構成する材料となるのがタンパク質なのですが、それを構成するのはアミノ酸です。
アミノ酸が不足すると、材料不足から健康な髪の毛が作れなくなるおそれがあります。
そのアミノ酸の合成を助けるのが亜鉛で、いくらアミノ酸を摂取しても亜鉛が不足すると健康な髪の毛が構成されづらくなるでしょう。
ビタミン類は、頭皮環境を整える効果があります。
3つの栄養素がお互いにサポートし合って健康な髪の毛を作り出すので、少なくともこの3つの栄養は食事やサプリメントでバランスよく摂取することが大切です。
細い髪の毛が気になったら早めに医師に相談しよう

細い髪の毛を増やす原因の多くは AGA。
AGAは、男性ホルモンのジヒドロテストステロンがヘアサイクルを乱すことで引き起こされる脱毛症。
AGAは進行性の脱毛症のため、放置すると、頭頂部や前髪の生え際から薄毛がどんどん進行します。
これだけ聞くと絶望的な気分になりますが、実はAGAに効果的な治療薬はすでに開発されています。
高い治療効果が認められた治療薬が数種類あり、投薬治療を受けた患者の中には細い髪の毛が改善したと実感している人も多いようです。
むしろ、AGAを治療したいなら投薬治療以外に有効性の高い治療はほとんどありません。
細い髪の毛が心配な場合は専門のAGAクリニックや病院などを受診し、専門医に相談したうえで早めに治療を始めることが大切です。
また、「AGAではないと思うけど、髪の毛が細くなってきている」という場合でも、医師に相談することで髪の毛の細さを改善することができるかもしれません。
自分なりの対策をしてみても、どんどん髪の毛が細くなってしまう……そんな人は一度、専門クリニックの無料カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
● 毛髪診断士コメント
髪の毛の太さには個人差がありますが、後天的に「髪の毛が細くなった」と感じる人は注意が必要です。
まずは、病院で今の髪の毛の状態について相談するといいでしょう。
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