
2018年09月05日 更新
薄毛は薬で治る? 治療薬の効果と注意点を学ぼう
【薄毛は薬で治る?】薄毛を治療する薬とは?

男性の薄毛「AGA」は薬で治る
多くの男性が発症する脱毛症の1つに、「AGA(男性型脱毛症)」があります。
実は成人男性の薄毛は、ほとんどがこのAGAによるものだと考えられているのです。
AGAは、男性ホルモンの影響で成長前の髪の毛が途中で抜け落ちたり、健康な髪の毛が生えなくなることによって薄毛を引き起こす脱毛症です。
頭頂部や生え際から薄毛が進んでいくのが特徴。
若い男性であっても発症する可能性のある薄毛ですが、現在は効果的な治療薬が開発されています。
ガイドラインで推奨されている投薬治療
薄毛についてネットで調べてみると、数多くの治療法・予防法が出てきます。
医学的な根拠があるものから、一切効果の保証がされていないものまで実にさまざまで、安易に実践してしまうと効果がないどころか、症状が悪化するリスクもあります。
このような状況を危惧した『日本皮膚科学会』は、AGAによる薄毛を改善する効果があるのかを、治療法ごとに検証しガイドラインにまとめました。
その結果、最も薄毛改善効果が高く推奨できる治療法として認められたのが、特定の治療薬を使った投薬治療だったのです。
ここからは、薄毛に効果がある治療薬を詳しく見ていきましょう。
【薄毛は薬で治る?】効果が認められたAGA治療薬とは?

ガイドラインで認められた3つのAGA治療薬
ガイドラインの中で最高評価を獲得した薄毛治療法は、ミノキシジル外用療法・フィナステリド内服療法、デュタステリド内服療法の3つ。
ミノキシジル外用療法はAGA治療における第一選択薬になっている治療法で、ミノキシジル外用薬を使用します。
主な効果は血行促進で、継続して使用することで発毛促進効果が得られると認められています。
フィナステリド内服療法は、有効成分フィナステリドが配合されたプロペシアなどの治療薬を用い、AGAによる薄毛の原因である男性ホルモンの働きを阻害することで脱毛抑制効果が得られます。
デュタステリド内服療法はプロペシアと同じく特定の男性ホルモンに作用するザガーロという薬を使用するのですが、より薄毛改善効果が高い最新薬となっています。
もっと詳しくガイドラインについて知りたい人はこちら
【2017年版】薄毛治療を正しく理解したいならこれ! 「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」
【薄毛治療薬の種類】AGA治療薬①:ミノキシジル外用薬
ミノキシジルには、末梢血管を広げて頭皮の血行をよくする効果があります。
血行促進と薄毛の改善には関連がないように思われますが、血行がよくなると酸素や栄養が十分に頭皮の毛母細胞へと届くのです。
また、ミノキシジルには髪の毛の成長サイクルを維持する効果もあると言われています。

ミノキシジルは、このような作用により、髪の毛を太く長く成長させることで薄毛改善効果が得られるのです。
【薄毛治療薬の種類】AGA治療薬②:プロペシア
AGAが進行する原因は、ジヒドロテストステロンという男性ホルモン。
ジヒドロテストステロンが男性ホルモン受容体と結合すると、髪の毛の成長を阻害するシグナルを出します。
その結果、髪の毛が十分に成長しないまま抜けてしまい、薄毛が進行することになります。
ジヒドロテストステロンは、テストテロンという男性ホルモンと5αリダクターゼという還元酵素が結合することで生成されます。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドは、5αリダクターゼを阻害する作用を持っているため、結果的にジヒドロテストステロンの生成を抑制できるのです。
【薄毛治療薬の種類】AGA治療薬③:ザガーロ
ザガーロの有効成分であるデュタステリドは、フィナステリドと同じく5αリダクターゼの働きを阻害する効果があります。
デュタステリドは、5αリダクターゼを阻害することでジヒドロテストステロンの生成を抑制し、ヘアサイクルの状態を改善し、脱毛の進行を防ぎ、発毛を促します。
5αリダクターゼには1型と2型があるのですが、デュタステリドは両方の働きを抑えることができるため、高い薄毛治療効果が期待されているのです。
さらに、5αリダクターゼ2型に対しては、フィナステリドの3倍近い阻害力を持っています。
この高い抑制力によって効果的に薄毛を改善させることができるとして、新しいAGA治療薬として注目を集めています。
【薄毛は薬で治る?】AGA治療薬にも副作用とは?

薄毛の治療効果が認められているAGA治療薬は医薬品です。
なので、服用すれば副作用が起きる可能性もあります。
ここでは、3つのAGA治療薬に見られる副作用について見ていきましょう。
AGA治療薬の副作用①:ミノキシジル外用薬
ミノキシジル外用薬は、主に頭皮の血行を促すことで発毛効果を発揮する薬。
このミノキシジル外用薬の副作用には、主に頭皮のかゆみや発疹などの頭皮トラブルが報告されています。
また、ミノキシジルは降圧剤として使用されていたこともあり、血圧の低下やそれにともなう不調を起こす場合もあります。
AGA治療薬の副作用②:プロペシア
プロペシアの服用によって報告されている副作用は、主に性欲・男性機能に関わるものです。
プロペシアを用いた二重盲検比較試験では、性欲の減退が1.1%、勃起機能不全が0.7%見られたと報告されています。
また、プロペシアの重大な副作用として、肝機能障害が報告されているため、肝機能に不安がある人は医師や薬剤師に必ず相談してから使用しましょう。
AGA治療薬の副作用③:ザガーロ
ザガーロについて報告されている副作用は、プロペシアと同様に性欲・男性機能に関わるもの。
しかし、プロペシア以上の発毛効果を発揮する一方で、副作用の発生頻度はやや高めのようです。
ザガーロを用いた第Ⅱ・Ⅲ相国際共同試験では、勃起不全が4.3%、性欲の減退が3.9%、精液量の減少が1.3%見られたと報告されています。
また、ザガーロの内服でも肝機能障害が報告されているため、肝機能に不安がある人は医師の指示を仰ぎましょう。
【薄毛は薬で治る?】女性の薄毛に男性用のAGA治療薬は使える?

薄毛は男性に限った話ではなく、女性であってもさまざまな要因で薄毛になり得ます。
では、治療効果が認められているAGA治療薬は、女性の薄毛にも効果を発揮するのでしょうか?
女性はAGA治療薬の使用していけない
結論から言うと、男性の薄毛に対して治療効果が認められているAGA治療薬ですが、女性の薄毛には治療効果を発揮しません。
それどころか、女性がAGA治療薬を投薬することで、悪い影響を受けるおそれがあります。
AGA治療薬として紹介したプロペシアやザガーロは、ジヒドロテストステロンの抑制によって発毛効果を発揮する薬です。
しかし、このジヒドロテストステロンは本来、胎児の生殖器形成に関わる重要なホルモン。
そのため、女性がプロペシアやザガーロを服用すると、胎児の生殖器形成に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、有効成分であるフィナステリドとデュタステリドは経皮吸収されるため、女性が手に触れることも危険です。
AGA治療薬を使用している人は、薬の管理に注意しましょう。
女性が使用できる薄毛の薬は「ミノキシジル外用薬」
ガイドラインで効果的と推奨される薄毛治療法の中で、唯一女性の薄毛治療として推奨されているのが「ミノキシジル外用療法」です。
ただし、男性と女性とでは、推奨されているミノキシジルの濃度に違いがあります。
ガイドラインによると、男性の薄毛に効果が期待できるのはミノキシジル成分を5%含有した外用薬。
一方、女性用の場合は、ミノキシジル成分を1%配合した外用薬の使用が推奨されています。
高い薄毛改善効果を得るためにも、女性は女性用として開発された薄毛治療薬・育毛剤を使用するようにしましょう。
女性向けの薬「パントガール」を処方してくれるクリニックも
従来は薄毛治療薬というと男性用がメインでしたが、世界で初めて女性用の薄毛治療薬として効果が認められたのが「パントガール」という薬。
パントガールには、皮膚の健康を高めるチアミンや髪の毛を丈夫にする薬用酵母やケラチンなどを始めとした6種類の有効成分が配合されています。
発毛をサポートするサプリメントや育毛剤としてパントガールを処方してくれるクリニックもあるので、気になる女性はクリニックに問い合わせてみるといいでしょう。
【薄毛は薬で治る?】AGA治療薬の価格は?

薄毛治療は何ヶ月も継続して行うのが基本なので、毎月の治療費は非常に気になるところでしょう。
治療費は、治療薬の種類や処方するクリニックなどによって異なるので、それぞれ相場を知っておくことが大切です。
ミノキシジル外用薬の場合、1ヶ月に必要となる費用は約7,000円から15,000円前後が相場です。
ミノキシジル外用薬は処方箋ごとに濃度や内容量が異なるので、費用にもかなり幅が出ます。
このため、事前にクリニックに問い合わせて確認したほうが安心でしょう。
プロペシアの場合は1箱28錠入りで約6,000円から7,500円ほど、ザガーロは1箱30錠入りで約8,000円から9,000円ほど必要です。
プロペシアもザガーロも1日に1錠ずつ服用するので、1箱購入すると約1ヶ月分ということになるでしょう。
女性向けのパントガールの場合、約8,000円から12,000円とクリニックによってかなり価格差があります。
補助的に用いられるため他の治療薬と同時に処方されることが多く、費用の合計はもう少し上がります。
通常、クリニックなどで治療薬を処方されると保険が適用されますが、薄毛治療は自由診療扱いであるため、基本的に全額自己負担です。
治療が長期化し費用がかさむこともあるため、事前にクリニック側にきちんと相談しておきましょう。
薄毛治療薬の価格相場
- ミノキシジル外用薬:約7,000〜15,000円
- プロペシア:約6,000〜7,500円
- ザガーロ:約8,000〜9,000円
- パントガール:約8,000〜12,000円
AGA治療薬を個人輸入で購入するのは危険
前述のように、AGA治療は全額自己負担です。
効果が認められている治療薬であるため、それだけの価値はあるのですが、保険適用される薬と比べてしまうと高額のため、治療薬を海外から個人輸入する人も珍しくありません。
たしかに海外製の治療薬は安いのですが、粗悪品や偽物が混じっている危険があります。
十分な治療効果が得られないばかりか、有害な物質が混入していれば思わぬ健康被害を受けるおそれもあり、注意が必要です。
また、個人輸入した治療薬によって健康被害を受けた場合、公的救済措置の対象外となるため、何の補償も受けられません。
個人輸入した薄毛治療薬を使用すると大きなリスクが伴うため、必ずクリニックで正規品の治療薬を処方してもらうようにしましょう。
【薄毛は薬で治る?】薄毛の治療薬は専門のクリニックで処方してもらおう!

最適な治療薬を提案してくれる
薄毛を本気で改善したいなら、治療薬をインターネットで個人輸入するのではなく、AGA専門のクリニックを受診するのが最善の方法です。
なぜなら、専門クリニックはAGAについて詳しい知識と実績を持っているため、患者一人ひとりの状態に合わせて、適切な治療法・治療薬を提案してくれます。
しかも、日々進歩を続ける薄毛治療の情報にも詳しく、一般的な病院では対応していない治療法や治療薬を扱っていることもあります。
クリニックによっては独自に治療薬を開発しているところもあるため、効果的な治療を望む場合は専門クリニックを受診して治療薬を処方してもらいましょう。
カウンセリング・検査で、薄毛の原因や体質がわかる
多くのAGA専門クリニックでは、診察・検査の前に、カウンセリングを行っています。
症状に気づいた時期や進行具合など直接的な内容から始まり、生活習慣やストレスなど、薄毛に付随する様々な情報も詳しく集めていきます。
そのうえで血液検査や遺伝子検査なども行い、患者の薄毛がどういったタイプなのか、どんな治療薬が最も効果的なのかを調べることも可能です。
このような専門的な分析により、その人に最適な治療薬を提案することができるため、効果の高い薄毛治療が期待できるのです。
無料のカウンセリングを実施しているクリニックも数多くあるので、1日でも早く薄毛を何とかしたいのであれば、医師に相談しましょう。